ちゃんと報告している。資料も作っている。必要なことは説明した。
それなのに、「もう少し整理して持ってきて」と言われる。
こんな経験、一度はあるのではないでしょうか。
しかも、何度やっても同じことが繰り返される。
そのたびに「説明が足りなかったのか」「情報が少なかったのか」と自分を責めてしまう。
でも、原因は努力不足ではないことが多いのです。
「説明する」と「判断材料を渡す」は、別のことです
まず、少し立ち止まって考えてみてください。
報告書や会議資料は、何のために作るのでしょうか?
「状況を説明するため」と答える方が多いと思います。
でも、それだけでは不十分なんです。
報告書も、会議資料も、レビュー資料も、
本来の役割は相手に判断してもらうための材料を渡すことです。
「説明する」は情報を伝えることです。
「判断材料を渡す」は、相手が「yes」か「no」か、「どちらの案で進めるか」を決められる状態にすることです。
この2つは、似て非なるものです。
情報がどれだけ揃っていても相手が判断できる形になっていなければ、
受け取る側は「で、何を決めればいいのか」と困ってしまいます。
作る側は「ちゃんと説明した」と思っている。
受け取る側は「何を判断すればいいのか分からない」と感じている。
このズレが、「もう少し整理して」を生んでいます。
なぜ「経緯から話す」と伝わらないのか
仕事が前に進まない人の資料には、共通したパターンがあります。
経緯から話し始めてしまうことです。
背景があって、これまでこういう経緯があって、こういう検討をして…etc。
こういう問題が見えてきて——という順番で話を組み立てる。
丁寧に説明しようとするほど、自然とそうなってしまいます。
ところが聞く側は、「今日は何を決めればいいのか」が見えないまま話を聞くことになります。
話の途中で頭の中が散ってしまい、終わったときに
「で、結局何を決めればいいの?」となる。
これが「持ち帰り」「差し戻し」の正体です。
通る人の資料は、逆の順番で始まる
仕事が通る人の資料は、構造が逆です。
最初に結論を置き、続けて「何を決めてほしいか」を示す。
たとえば、こういう言い方です。
「今回はA案で進めたいです。理由は、コストと納期のバランスが最も良いからです。本日決めていただきたいのは、この条件で試作に進むかどうかです。」
最初に「今日の判断はこれですよ」と宣言しておく。
そうすると、受け取る側は「今日はこの点を判断すればいいんだな」という状態で話を聞けます。
同じ情報を受け取っていても、最初の一言で、頭への入り方がまったく変わります。
これは資料だけでなく、口頭の報告でも同じです。
押さえておきたい4つのポイント
冒頭にこの4つを意識するだけで、
受け取る側の理解の仕方が大きく変わります。
1. この資料の目的は何か
何のためにこの資料を出すのかを明確にする。
「報告のための報告」になっていないか確認する。
2. 相手に何を決めてほしいのか
承認なのか、方向性の選択なのか、予算の確保なのか。
「確認してください」ではなく、「この点を決めてください」と絞り込む。
3. 結論は何か
自分はどうしたいのか、どう判断しているのかを先に示す。
結論を最後に取っておかない。
4. その根拠は何か
結論を先に言った後で、なぜそう判断したのかを説明する。
書こうとすると、自分の思考も整理される
もうひとつ、大切なことがあります。
この4つを冒頭に書こうとすると、
「あれ、自分は何を決めてほしいんだっけ?」
と気づくことがあります。
資料が通らない理由のひとつに実は作っている本人の中でも
まだ整理が終わっていない、という場合があるからです。
自分では分かっているつもりで、実はまだぼんやりしている。
だから、この4つを書き出す作業は相手のためだけではありません。
自分の思考を整理するためのプロセスでもあります。
相手にも伝わりやすくなり、自分の頭も整理される。
一石二鳥です。
まとめ
今回の話を3つに絞ります。
- 報告や資料は、「説明」ではなく「判断材料」である
- 仕事が進まない原因は、情報不足より「相手が判断できる形になっていないこと」が多い
- 最初に変えるべきは、結論の置き方である
仕事が前に進まないとき、私たちはどうしても
「もっと説明しなきゃ」
「もっと情報を足さなきゃ」
と考えがちです。
でも必要なのは、情報の追加ではなく、構造の整理かもしれません。
次に資料を作るとき、「相手は何を判断するのか」を最初に問いかけてみてください。
その一問が、仕事の流れを変えます。
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